はてなハイクから17onへ

2019年3月27日で終了してしまった『はてなハイク』を受け継ぐ『17on』の書き込みまとめです。時々You Tubeのカラオケ音源も貼ります。

リーガル・ハイ【第9話】 古美門研介:堺雅人の長台詞書き起こし その2(2013年12月11日放送分)

徳永家の勝手口から出てきたのがたとえ “突撃隣の晩御飯の” ヨネスケであったとしても安藤貴和に見えたに違いない、みんながそれを望んでいるから。人は見たいように見、聴きたいように聴き、信じたいように信じるんです、検察だってそうでしょう。

(侮辱だな)
ええ侮辱したんです。証拠によってではなく民意に応えて起訴したんです。
(我々は公僕だ、国民の期待にこたえるのは当然だ。)
愚かな国民の愚かな期待にも応えなければならないんですか。
(愚かですか?)
ええ愚かで醜く卑劣です。
(傲慢きわまりない、私は素晴らしい国であり、美しく誇り高い国民だと思っている)
美しく誇り高い国民が証拠もあやふやなな被告人に死刑を求めますか。
(本件の場合、有罪であるならば極刑が相応しい、我が国においてそれは死刑だ)
生命はそのものに与えられた権利です、それを奪うものは例え国家であっても人殺しです。
(あなたが死刑廃止論者だとは意外だな)
いえ反対じゃありませんよ、目には目を、歯には歯を殺人には殺人を、立派な制度だ、ただ人知れずこっそり始末することが卑劣だと言っているだけです。
(白昼堂々と殺せと言うのか)
そのとおり、青空の下市中引き回しの上、貼り付け火あぶりにした上でみんなで一刺しずつ刺して首を晒し万歳三唱をしたほうがはるかに健全だ。だが我が国の愚かな国民は自らが人殺しになる覚悟がないんです。自分たちは明るい所に居て誰かが暗闇で社会から消し去ってくれるのを待つ。そうすればそれ以上死刑について考えずに済み、この世界が健全であると思えるからだ違いますか?
(仮にそうだとしても、それもまた民意だ)
民意なら何もかも正しいんですか?
(それが民主主義だ)
裁判に民主主義を持ち込んだら司法は終わりだ!
(果たしてそうかな)
そうに決まってるでしょう。

(いささか古いな、法は決して万能ではない、その不完全さを補うのは何か? 人間の心だよ。罪を犯すのも人間、裁くのも人間だからだ。多くの人々の思いに寄り添い、法という無味乾燥なものに血を通わせることこそが正しい道を照らす。裁判員裁判は正にその結実だ。そして本件に置いて人々が下した決断は『安藤貴和は死刑に処されるべき』というものだった。愛する家族と友人と子供たちの健全な未来のために、これこそが民意だ。)
《大きな拍手》

素晴らしい、さすが民意の体現者醍醐検事、実にすばらしい主張です。良いでしょう、死刑にすればいい、確かに安藤貴和は社会を蝕む害虫です、駆除しなければならない。次に寝取られるのは貴方の御主人かもしれませんからねえ。貴方の恋人かもしれないし、貴方の父親かもしれないし、貴方の息子さんかもしれない。あるいは貴方自身かもしれない。死刑にしましょう、現場での目撃証言はあやふやだけれど死刑にしましょう。被告人の部屋から押収された毒物が犯行に使われたのかどうか確たる証拠もないけれど死刑にしましょう。現場に別の毒物らしき瓶が落ちていたと言う証言があるけれど気にしないで死刑にしましょう。証拠も証言も関係ない、高級外車を乗り回しブランド服に身を包みフカヒレやフォアグラを食べていたのだから死刑にしましょう。それが民意だ、それが民主主義だ、なんて素晴らしい国なんだ。民意なら正しい、みんなが賛成していることならすべて正しい、ならばみんなで暴力を振るったことだって正しい訳だ。

私のパートナー弁護士を寄ってたかって袋叩きにしたことも民意だから正しい訳だ。
冗談じゃない、冗談じゃない!!!

本当の悪魔とは、巨大に膨れ上がった時の民意だよ、自分を善人だと信じて疑わず薄汚い野良犬がどぶに落ちると一斉に集まって袋叩きにしてしまう。そんな善良な市民たちだ。だが世の中にはどぶに落ちた野良犬を平気で助けようとする馬鹿もいる。己の信念だけを頼りに危険を顧みない馬鹿がね。その馬鹿のおかげで今日江上淳子さんは民意の濁流から抜け出して自分の意志で証言をして下さいました。それは江上さんたった一人かもしれませんが確かに民意を変えたんです。私はその馬鹿を誇らしく思う。民意などというものによって人ひとりを死刑にしようというならすれば良い、所詮この一連の裁判の正体が、嫌われ者を吊るそうと言う国民的イベントに過ぎないんですから。己のつまらない人生の憂さ晴らしのためにね、そうでしょう醍醐検事。
あなた方五人は何のためにそこに居るんです。民意がすべてを決めるなら、こんなに格式ばった建物も権威づいた手続きも必要ない。偉そうにふんぞり返ってる爺さんも婆さんも必要ない。判決を下すのは、断じて国民アンケートなんかじゃない、我が国の碩学であられるたった五人のあなた方です。どうか司法の頂点に立つ者の矜持をもってご決断ください。お願いします。
《最敬礼》
数々の御無礼、お気を悪くされたかもしれませんが、所詮は金の亡者で嫌われ者のどぐざれ弁護士の戯言です、どうかお聴き流しください、以上です。
《羽生ほかまばらな拍手》

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()は松平健演じる醍醐検事の台詞です。